道具

紳士服を仕立てるのに使う道具。手で使うもの、アイロンとアイロン台、ミシン、作業机までを一覧する。

手で使う道具

手で使う道具の一例。

手縫い針

毛織物には短針のメリケン針を使う。番手で用途が分かれる。

番手用途
4番ボタン付け
6〜7番躾縫い、穴かがり
8〜9番まつり糸

指ぬき

手縫い針の頭を押すための金属製の保護具。

糸通し

手縫い針に糸を通す際にあると便利。

しつけ糸

コットンの40番手ぐらいのもの。カセではなく巻かれているタイプが使いやすい。

裁ちばさみ

生地を裁つための鋏。

糸切りばさみ

糸の始末に使う。

ロールカッター

生地を切る際にあると便利。裁ちばさみと違って刃を交換できるため、研ぐ手間がいらない。直線や緩いカーブを効率よく切れる。

文鎮

製図や差し込みの際に使う。3〜4つあると不足することはない。

目打

しつけ糸を取る際や、フラップや衿といった角を出す際に使う。

毛抜(ピンセット)

切躾を抜き取る際に使う。生地を傷つけないものがよい。

チョーク

生地に直接線を引く際に使う。白色のものが一つあると便利。払えば落ちるが完全には取れない場合があるため、生地の裏側で使う。徐々に角が丸くなって細い線が引けなくなるので、定期的に鋭く削る。

定規

20cm程度の短いものと、50cm程度の長いものがあると便利。製図に使うものと、ロールカッターに当てるものは分けておく。ロールカッターの刃で傷むためである。曲線を引くのが苦手なら、カーブの付いたものがあると製図の際に便利かもしれない。

巻き尺

柔らかい巻き尺があると、曲線の長さを計測できる。

鳩目打ち

ハトメのあるボタンホールなどに用いる。

アイロン

アイロン

スチームが出るタイプと、スチームの出ないドライアイロンがある。ある程度の重さがあるほうが、縫い代を開くのもくせとりもしやすい。重さの目安は次のとおり。

用途重さ
地伸し、仕上げ8ポンド以上
厚物の裁縫7ポンド
薄地の裁縫5ポンド
左が旧式の電気アイロン、右が現代のスチームアイロン。

ただしこれほど重いアイロンは現代では入手が難しい。現代で一般に使われるものは電気式である。旧式の温度調整機能の無い電気式アイロンは、コンセントにつないでいるかぎり温度が上がり続けるため、コンセントを抜き差しして人力で温度を調整する必要がある。

霧吹き

ドライアイロンを使う際や、ピンポイントで水を与えたいときに使う。

アイロン布

長時間同じ場所にアイロンを当てる際や、表からアイロンを当てる際に使う。

アイロン台

左が鉄台、右が仕上饅頭(中万)。

仕上饅頭(万十)

饅頭のような形をしたアイロン台。上着の胸まわりや腰、ズボンの腰まわりといった丸みのある箇所にアイロンを当てる際に必要となる。とりあえず中万があれば事足りる。

袖饅頭(万十)

袖向けの、細長い形をした万十。袖やズボンの脇縫い目などへのアイロンに使う。

鉄台(鉄饅)

上着の袖付やズボンの小股、ワイシャツのヨークといった狭くこみいったところにアイロンを当てるときに便利。

仕上げ馬

袖付や身頃、ズボンの腰まわりに使える、長く突き出したアイロン台。

ミシン

直線縫いできるものが1台必要となる。必ずしも高性能なものは要らないが、パワー不足のものや、針先がブレるような剛性の足りないものは選ばないことをすすめる。現代的な仕立てをするのであれば、ロックミシンやボタンホーラーがあると便利。

その他

洋服ブラシ

馬毛や豚毛のものが一つあるとよい。縫製中に付いたホコリを落とすときに便利。

作業机

オーバーコートの前身頃といった大きな部品を扱うことを想定すると、長さ140cm、幅60cm程度は少なくとも必要になる。

参考文献

  1. 国内 木村慶市, 松原正巳 (1948) 『図解紳士服全書』 生活研究社 pp.208-212 書誌情報送信サービス