芯地

上着に入る基芯・増芯・釦芯・肩芯・衿芯・袖芯・ミツ芯の役割と素材。麻芯とスレキの下ごしらえ、ズボンやオーバーコートの芯についても触れる。

上着の表地の裏には、という丈夫な生地が入る。形を作り、着ているあいだそれを保たせるための材料である。

上着の芯

基芯(台芯、土台芯)を土台とし、その上に部位ごとの芯が乗る。胸の膨らみを出す増芯、ボタンホールのまわりを補強する釦芯、前肩の肩癖を作る肩芯である。

部位素材地の目
身頃の土台基芯(台芯・土台芯)麻芯。毛芯を使うこともある縦地
胸(膨らみを出す)増芯毛芯。麻芯やスレキ・キャラコで取ることもある
ボタンホールまわり釦芯スレキ
肩(前肩の肩癖を作る)肩芯スレキ斜地
上襟の裏衿芯麻芯斜地
袖口袖芯スレキ(幅9cm程)縦地
後身頃の衿ミツ付近ミツ芯スレキ斜地
内ポケットのフラップ、箱ポケットの口スレキ
基芯に増芯を重ね、肩芯と釦芯を付けたところ。地の色の濃いほうが基芯、明るいほうが増芯。
胸まわりの拡大。増芯の縁を基芯に留めてある。

基芯と袖芯は縦地、肩芯・衿芯・ミツ芯は斜地(バイアス)で取る。斜地にするのは身体の丸みに沿わせる箇所で、縦地のままでは馴染まない。

衿芯。斜地で取り、上衿の形状が出るように形づけてある。
後身頃の裏。衿ぐりに沿う白い部分がミツ芯。
製作途中の袖の裏。袖口の生成り色の部分が袖芯。

素材

麻芯はダック芯を指す。スレキは木綿布を指す。

毛芯には、弾力性に富み、強度を担保する丈夫なものを使う。ただし表地が綿や麻の場合、芯に毛芯を使う必要はない。

麻芯の下ごしらえ

麻芯には糊で強度を保っているものがある。糊で強度を出しているものは、糊を落とさずにシワを取り、そのまま干して使う。そうでないものは、糊を洗い落としてから使う。

いずれも使用前に縮地の処理が必要である。

上着以外

ズボン — 腰まわりに腰芯として麻芯や綿芯といった強度のある芯を入れる。持ち出しにも芯を入れる。

オーバーコート — 概ね上着と同様に芯を作る。増芯にネルを使うこともある。裾付近には、基芯より柔らかいスレキなどの生地を使う場合がある。

チョッキ — 前身頃の全体に基芯が入る。上着のように部位ごとの芯を重ねていく作りとは異なる。

組み合わせは服に合わせて決める

芯の構造と素材は、その服に求めるスタイル、着るシーズン、水洗いをするかどうかといった洗濯の方法に応じて調整する。上の表は組み合わせの一例であって、そのとおりに入れなければならないものではない。

参考文献

  1. 国内 染葉秋宏 (1940) 『男子服裁縫の要訣』 文化服装学院すみれ会出版部 書誌情報送信サービス
  2. 国内 木村慶市, 松原正巳 (1948) 『図解紳士服全書』 生活研究社 書誌情報送信サービス
  3. 国内 西島芳太郎 (1949) 『西島男子服全書』 婦人春秋社 書誌情報送信サービス
  4. 国内 竹村克巳 (1950) 『ティラァズ・ブック : 紳士服の裁断と縫方』 緑屋洋装研究所 書誌情報送信サービス 三つ揃いの縫製方法が分かりやすい絵をベースに解説されている
  5. 国内 染葉秋宏, 太田三子夫 (1951) 『男子服の縫い方』 服装技能協会 書誌情報送信サービス